ビジネス文章の翼:読書ガイド#4

〜社内文書・就職・昇進昇格試験作文のために。実用文や論文の書き方、文章力向上のツボ!

『マンガ孫子・韓非子の思想』

ビジネス文章の参考書として「気は確かか」と言われるかも知れないが、筆者は十分正気である。
さらに、「ああ、孫子の方ね」と受け取られるかも知れないが、私の意図はそうでない。韓非子の方であって、孫子はおまけである。

孫子はよく、ビジネス雑誌に取り上げられるし、ビジネスマン向けのハウツー本にもなっている。まぁ、役に立つ人には役に立つのかも知れないが、漢学をかじった身としては、やや滑稽の感を免れがたい。なぜなら、孫子は将軍・君主の心得を説いたものであって、中間管理職以下のビジネスマン向きではないからだ。
君主向けである点は韓非子も同様だが、孫子と違うのは、考察の対象が、徹頭徹尾「組織とそこに属する人間」であることだ。

昨今の昇進昇格試験では、中間管理職以下の受験者向けであっても、組織全体を考察させることが多い。「そんなこと聞いてどうするんだ」といぶかしくもなるが、問われたことには答えねばならない。ではということで、これまた組織論のハウツー本を読んでみるが、概してそれらの価格は高く、文も難解だったり、精神風土の異なるアメリカの理論を、よく考えもせずマネしたり(と言うよりデッドコピー。鹿鳴館みたいだ)で、どうも使いづらいのである。

その点この本は安心だ。マンガだから安いし、読みづらくもない。韓非子の指摘する組織の問題は今日の日本そっくりであって、この点でも十分使える。
私自身も、仕事として組織論の文章執筆を依頼されることがあるが、種明かしをするとこの本なのである。もちろん原書や訳注本も持っているが、通常の執筆ならマンガで十分間に合う。と言うより、「臣聞クナラク、知ラズシテ言フハ不知…」と出てきただけで、普通の人は鳥肌が立つに違いない。

組織をどうするか、系統だった知識や理解なしに、1000字を越えるようなビジネス論文は書けない。書いても良い文章はできあがらない。そうなる前にまず、さっと読めるこの本で、知恵を付けておいたらどうだろう。
講談社+α文庫 600円

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