ビジネス文章の翼:総論#12

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誰が書くべきか

ビジネス文章の総論を説く最後に、二人の人物についてお話ししたいと思う。一人は福沢諭吉先生、もう一人は、ホリエモンこと堀江貴文氏だ。
堀江氏が世間の顰蹙を買ったきっかけは、「金さえあれば何でも出来る」という趣旨の本を出版したことだった。しかしこれよりもっと辛辣なことを、福沢先生は言っている。いわく、「貧乏人は、差別されても仕方がない」と。しかしこれは人生訓として、むしろ高く評価されている。
同じような論旨でありながら、一方は憎まれ、一方は評価されている。ビジネス文章を考えるに当たり、この事実は極めて重要だ。すなわちビジネス文章で意見が受け入れられるのは、「何を、どう言った(書いた)か」によるのではなく、むしろ「誰が言ったか」によるということだ。従って読み手に嫌われている書き手が書いた、正しい意見をどれほど効果的に記したビジネス文章でも、好かれた書き手のビジネス文章にはかなわない。
ビジネス文章の技術は、読み手の納得というその目的に対して、この程度の効果しかない。ただし、ここで忘れてはならないのは、好かれた書き手で「さえ」、論旨明快なビジネス文章を書かねば、意見が通らないことだ。何を言っているのか分からない、読むだけでうんざりする、そんなビジネス文章を持ってこられては、意見をくみ取れず、まして同意など、出来るはずがないだろう。
企業人として、交渉相手と良好な関係を築くのは義務だ。しかしそれに加えて、ビジネス文章を論旨明快かつ読みやすく書くことは、最低限のマナーでもある。ビジネス文章で「字数埋めればいいだろ」「何とか読み取ってよ」という姿勢は、上司同僚取引先へケンカを売るのと同様に、組織の中では極めて損なのである。

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